「どこでも働ける」を追求した結果、地方移住に行き着いた話

こんにちは、nomadbizを運営している服部です。「場所に縛られない働き方」をテーマに、スモールビジネスや地方移住、AIを活用した効率的な働き方について発信しています。

今回は、「どこでも働ける」を追求していたら、いつの間にか地方移住していた話についてお話しします。

目次

きっかけ:なぜ私は自由な働き方を求めたのか?

「このままでいいのか?」—都会での生活に違和感を感じた瞬間

私は2011年まで、出身地である愛知県名古屋市でサラリーマンをしていました。ウェブ制作とはまったく関係のない仕事で、楽しくやりがいはあったものの、転勤が多く、給与も決して高くない上に、出世の道も限られていることなど、将来的な不安を抱えながら毎日を過ごしていました。

それでも、生まれ育った町で、ある程度安定した仕事に就けることは居心地が良く「まぁこのまま歳をとっていくのかな」と自分を納得させていました。その頃の私は、20代前半に追いかけた「音楽で食べていく」という夢が破れ、「これだけ好きなことをやってきたんだから、その結果としては上出来だろう」と、妙に達観していたところがありました。

しかし、心のどこかでは「まだやりきっていない」という思いがあったことも確かです。30代が近づくにつれ、「本当にこのままでいいのか」という気持ちがじわじわと募っていきました。

震災を機に変わった価値観—「自由に働く」ことへの憧れ

そんなとき、東日本大震災が発生しました。それは奇しくも、私の29歳の誕生日の翌日でした。多くの人がそうであったように、あの出来事は、私にとっても人生を見つめ直す大きな転機となりました。

人生はいつ何が起こるか分からない。やりたいことをやろうと決意し、「本当に自分が望む生き方とは何か」を徹底的に考えました。その結果「どこでも働けるようになって、いろんなところに住んでみたい」という新しい夢を見つけました。

しかし当時は今ほどインターネットが普及しておらず、リモートワークという言葉もまだ一般的ではありませんでした。「どこでも働ける」人というのは本当に限られており、音楽を再び頑張るか、小説家を目指すか…どれも現実味に欠ける選択肢ばかりでした。

それでも情報を探し続け、試行錯誤を繰り返すうちに、インターネットを活用すれば場所に縛られずに働ける可能性があると気づきました。

フリーランスとして生きる決意

「どこでも働けるスキル」を持つことが最優先だった

現在はウェブ制作者として仕事をしていますが、元々の入り口として「ウェブ制作者になりたい!」という明確な目的があったわけではありません。それはあくまで手段にすぎませんでした。「どこでも働けるようになること」を突き詰めた結果、ウェブ制作というスキルに行き着いたのです。

まずはECサイトの運営や情報商材の販売にも挑戦しましたが、まったく成果が出ず、ずいぶんと遠回りをしました。

しかし挑戦や失敗の中にこそ、成功の種が潜んでいるものです。ECサイトの運営や商材の販売に取り組む中で、必要に迫られ、ウェブサイトを作ることになりました。すると、自分がこの「ウェブサイトを作る」という行為そのものを楽しんでいることに気づいたのです。そこで「これを仕事にしよう」と決意しました。

スキル習得から独立まで、どのように進めたのか?

ウェブ制作を仕事にすると決めてからは、スクールに通うか、就職をするか、さまざまな選択肢を検討しましたが、どれも今ほど敷居が低いわけではなく、最終的に「未経験でバリ島の会社に就職する」という思い切った決断をしました。

そして、バリ島で経験を積んだ私は、日本に帰国して独立しました。決して順風満帆ではありませんでしたが、多くの人に支えられながら、なんとか事業を軌道に乗せることができました。

この経緯については「独立までのストーリー」というページに詳しく記載していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

バリ島での修行時代。大変だったけど充実していた

「自由に働けるなら、どこに住んでもいい」—地方移住を選んだ理由

独立後、働く場所の選択肢が広がった

独立した後、毎日充実してはいましたが、キラキラとした楽しい毎日…とは程遠い現実でした。 自分の仕事の適正な価格がわからず、相場よりもかなり安く設定してしまったため、仕事が殺到。とにかく忙しいのに、収入はそれほどでもない。そんなアンバランスな状態に陥っていました。

この「適正な価格の設定」については、また別の記事で詳しく書こうと思います。

とはいえ、この忙しい日々の中で、大きな変化がありました。自宅をメインの仕事場にしていましたが、公園でもカフェでも、旅行先でも、常にPCを持って作業していました。 いつも仕事に縛られている、という意味ではまだ道半ばでしたが、少なくとも、仕事をする場所の自由は手に入れたのです。

都会にいる理由がなくなった—「住む場所を選ぶ」という新たな視点

そんなある日、とある案件の打ち合わせで沖縄を訪れました。「仕事で沖縄に行く」——かつて憧れた働き方そのものです。しかし、実際は1泊の弾丸スケジュール。観光やビーチを楽しむ余裕などまったくなく、帰ったらすぐに取り掛からないといけない仕事が山積みです。

そんな中、ふと気づきました。「これって、家に帰らなくてもできるんじゃないか?」

とはいえ、いきなり滞在を延ばす勇気はなかったので、試しに帰りのフライトを遅めの便に変更。空いた時間で、手近なビーチに行き、そこで仕事をしてみることにしました。

沖縄滞在時に思い切ってビーチで仕事をしてみた

結果はどうだったかというと…何も問題は起こりませんでした。それどころか、「ビーチで仕事をしている」というだけで、ちょっとしたブランディングになったのです。 クライアントからも「やっぱりどこでも働けるのはいいですね。ビーチでいいアイデアを練ってください!」といった声をもらいました。

沖縄でも、名古屋でも、変わらず仕事ができる——そう確信しました。

地方移住を考える決定的なきっかけは?

こうして、当初の目標だった「どこでも働けるようになり、いろんな場所で暮らしてみたい」という夢が、いよいよ手の届くところまで来ました。あとは自分の勇気次第です。

次に考えなければならないのが「どこに住むか」という問題でした。当時私は結婚したばかりで、妻の意思も尊重する必要がありました。妻は東京出身だったため、両親からあまりに離れることは望んでいませんでした。

そんな中、ひとつの転機が訪れます。私の両親が仕事の引退を機に名古屋の家を引き払い、若い頃からの夢だった田舎暮らしを始めると言い出したのです。その移住先を探す過程で、現在暮らしている「山梨県北杜市」を訪れました。そして、その環境に一目惚れしました。

「ここに住んでみたい。」そう思った私は、さっそく本格的に移住を検討し始めました。とはいえ、どんな家がいいのか、購入するべきなのか、賃貸の方がいいのか… まったくの手探り状態です。そこで、まずはインターネットで北杜市の不動産情報を調べました。

すると、運命的な出会いがありました。ひと目見た瞬間に「ここだ」と思える家に出会ったのです。土地の広さ、家の造り、そして周囲の環境— どれをとっても理想に近いものでした。

もちろん、地方移住には不安もありました。しかし、「どこでも働けるスキルを身につけた今、ここで新しい暮らしを始めなければ、きっと後悔する」と考え、思い切ってその家を購入。

こうして、2017年。私は山梨県北杜市へと移住しました。

(ちなみに両親は長野県の安曇野市に移住しました)

実際に地方移住してみてわかったこと

良かったこと(自然・生活コスト・仕事の集中)

実際に移住してみて、結論から言えば、大満足です

特に大自然に囲まれた環境は何ものにも代え難く、家の窓からは甲斐駒ヶ岳を筆頭に、南アルプスの山々が広がります。さらに八ヶ岳や富士山といった名峰も遠くに眺めることができます。移住してから子どもが生まれ、子育てをする上でも山や川に囲まれた暮らしは非常に大きなメリットだと感じています。

庭にプールを出して子どもと遊びながらメールチェック

生活コストについては、住居費は安くなりましたが、その分ガソリン代や光熱費が増え、都会とそれほど変わらず、むしろ少し高いかもしれません。ただ、飲み会や外食の機会が減り、買い物できる場所も限られているため、無駄な支出が抑えられ、全体的なコストは約3分の2になりました

生活コストについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

そしてやはり最大のメリットは、仕事に集中できる環境を手に入れたことです。都会と違って誘惑が少なく、夜も8時になれば真っ暗になります。必然的に外出の機会は減り、可処分時間は大幅に増加しました。そのため、本業はもちろんのこと、副業や新しい事業にも集中できるようになりました。また、静かな環境の中で、自分とじっくり向き合う時間も増えました。ただし、人を介したインプットの機会は減るので、この点は何らかの形で補完する必要があるかもしれません。

大変だったこと(インフラ・人間関係・仕事の確保)

もちろん、デメリットもいくつかありました。

まず、都会と比べるとインフラが脆弱です。電気、ガス、水道などの基本的なインフラは整っていますが、電気は倒木などで電線が切れ、都会では考えられない頻度で停電が発生します。ガスは都市ガスではなくプロパンガス。そのため、料金は都会の約2倍になります。水道は公営ではなく、地域の共同井戸を利用。そのため、時々水が濁ることもあります。そういった場合でも、対応には時間がかかるため、お風呂に入れない日が出ることもありました。

また、人間関係の範囲が限られているため、一度トラブルが起こると逃げ場がありません。特に子どもが友達を作っていく過程では、どのような影響があるのか注視しています。私が育った環境では、1学年に80人ほどいましたが、ここでは15〜20人程度です。少人数ならではの団結力の強さなど、良い面もあるため、一概にデメリットとは言えませんが、正直なところ少し心配もあります。

仕事の面では、産業の中心が農業と観光のため、私の領域である「ウェブ制作」の仕事は、地元にはあまり多くありません。地場の強い代理店が独占しているケースも多く、新規参入のハードルは高めです。私は、東京や名古屋をはじめ全国のクライアントとのつながりを作った上で移住しているため、現在の仕事のほとんどはそこから得ています。ただ、地元の仕事との関係が薄いのは、今後の課題かもしれません。

「地方移住は本当におすすめか?」—移住して気づいたこと

これらのメリット・デメリットを整理した上で、地方移住はおすすめできるのか?

答えは、「しっかりした準備ができればおすすめ! ただし地域差が大きいのでリサーチは必須!」です。

まず、収入がなければ生活できません。移住に踏み切る前に、しっかりと収入のベースを作ることが何よりも重要です。地域によりますが、ウェブ制作で移住後に仕事を作ろうとすると、相当な苦労を強いられる可能性があります。

また、インフラの充実度は、移住前に必ず確認することを強くおすすめします。都会にいるとインフラについて意識することは少ないですが、地方ではこの点に大きな格差があり、住む場所によっては生活に支障が出ることもあります。

家族構成によって生活スタイルは大きく変わるため、ご自身の人生設計と照らし合わせて、本当に移住が最適な選択なのかを慎重に検討することをおすすめします。

まとめ:「地方移住×スモールビジネス」は現実的な選択肢なのか?

  • 地方移住は、すべての人にとって最適な選択肢とは限らない

私の場合は、大自然に囲まれて静かに集中できる環境がほしかったので、移住は大正解でした。ただ、ここまでに記載してきたようにデメリットもいくつかあります。特に人と会う機会は減少するため、人間関係の中からアイデアや仕事を創出していくスタイルの人には向いていないかもしれません。

もちろん地方には独自のコミュニティがあり、魅力的な人々が集まるエリアも存在します。そういった場に積極的に飛び込める方なら、それもまた楽しめるでしょう。

  • フリーランスの働き方と地方移住は、セットで考えるべきか?

フリーランスという働き方と地方移住は、必ずしもセットで考える必要はありません。「どこでも働ける」というのは「都会でも働ける」という意味でもあります。ご自身のスタイルや価値観に合わせて、場所を自由に選べることが最大の強みです。地方はその選択肢の一つとして捉えるぐらいの感覚でも良いかもしれません。

  • 書籍では「地方移住×スモールビジネス×AI」をより詳しく解説!

現在、『地方移住×スモールビジネス×AI』をテーマにした書籍を執筆中です。書籍では、このテーマをさらに深掘りし、実際のケーススタディも交えて詳しく解説していきます。

完成次第、本ブログでもご案内しますので、楽しみにしていてください!


付録:この記事の作成におけるAI活用ポイント

この記事では、以下の場面でAIを活用しました。

  1. 見出し案の作成(ChatGPT / Notion AI)
    → 記事の大枠を決める際に、複数の見出し案をAIに提案してもらいました。その中から、自分のストーリーに合うものを選び、調整しています。
  2. 文章のリズムや構成のブラッシュアップ(ChatGPT)
    → 書き上げた文章の冗長な部分を削り、よりスムーズに読めるようにするため、AIの提案をもとにリズムを整えました。
  3. SEO視点でのタイトル・見出しの調整(ChatGPT)
    → 記事のタイトルや各セクションの見出しが、検索エンジンで適切にヒットするよう、キーワードを意識した調整を行いました。
  4. 要点の整理と簡潔なまとめの作成(ChatGPT)
    → まとめの部分では、記事全体の要点を整理し、読者にとってわかりやすく伝わるようにAIを活用しました。

このように、AIは「考えるための補助ツール」として活用し、最終的な調整はすべて自分の手で行っています。「AI × スモールビジネス」の可能性を探りながら、より良いコンテンツを作る方法を模索していきます!

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この記事を書いた人

服部 雄樹のアバター 服部 雄樹 nomadbiz管理人

著書『HTML&CSSとWebデザインが 1冊できちんと身につく本』『Webデザイン見るだけノート』(監修)など|バリ島から南アルプスまで住む場所を変えながらフルリモートでウェブ制作会社を経営。趣味はレコード収集と薪割り。名古屋市出身。猫派。

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